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深田 智*; 林 巧
日本原子力学会誌, 47(9), p.623 - 629, 2005/09
核融合炉の燃料処理技術については、なぜ重水素とトリチウムを燃料として使用し循環処理する必要が有るのか、どのようにプラズマ排ガスから水素同位体を精製し、重水素やトリチウムを同位体分離し、効率よく貯蔵(供給)するのかを解説する。また、トリチウムの安全取扱技術についても、その性質や安全取扱の考え方を整理し、万一の想定異常時にいかに検知し、除去し、その除去したトリチウム(トリチウム水)を処理するのかを解説する。
磯部 兼嗣; 今泉 秀樹*; 林 巧; 小西 哲之; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 41(3), p.988 - 992, 2002/05
燃料精製システム(FCU)は、核融合炉のプラズマ排ガスから水素同位体を回収するシステムである。原研では、電解反応器,管状リザーバタンク,パラジウム拡散器から成るFCUシステムを研究開発してきた。固体電解質を用いた電解反応器は、水素同位体を含む化合物から水素を分子として取り出す世界に例のない独自の装置である。また、管状リザーバタンクは少ない循環回数で高い除染係数を得るために導入したものである。実証試験は、プラズマ排ガスを模擬した水素同位体,メタン,ヘリウムの混合ガスをFCUシステムで循環処理することで実施し、メタン濃度は3回の循環処理で2.3%から12ppm以下までステップ状に減少した。このことから、FCUシステムが少ない循環回数で高い除染係数が得られるシステムであることを実証した。
山西 敏彦; 河村 繕範; 岩井 保則; 有田 忠昭*; 丸山 智義*; 角田 俊也*; 小西 哲之; 榎枝 幹男; 大平 茂; 林 巧; et al.
Nuclear Fusion, 40(3Y), p.515 - 518, 2000/03
被引用回数:6 パーセンタイル:21.01(Physics, Fluids & Plasmas)原研トリチウムプロセス研究棟では、1987年より、10gレベルのトリチウムを用いて、核融合炉のトリチウム技術に関する研究開発を進めている。ITERトリチウムプラントは、燃料精製、同位体分離、水処理、空気中トリチウム除去系等からなるが、燃料精製について、パラジウム拡散器と電解反応器からなるシステムを考案・検討した。トリチウムプロセス研究棟において、核融合炉模擬燃料循環ループを構築し、この燃料精製システムの実証試験に、ITERの1/15規模の処理流量で成功した。また、同位体分離システム、ブランケットトリチウム回収システムについても研究開発を進めている。
山西 敏彦; 小西 哲之; 林 巧; 河村 繕範; 岩井 保則; 丸山 智義*; 角田 俊也*; 大平 茂; 中村 博文; 小林 和容; et al.
Fusion Technology, 34(3), p.536 - 540, 1998/11
原研トリチウムプロセス研究棟において核融合炉燃料循環模擬ループを組み上げ、ITER条件での試験を行った。模擬ループは、電解反応器及びパラジウム拡散器を用いた燃料精製システム,深冷蒸留塔を用いた同位体分離システムから成る。模擬プラズマ排ガスとして、水素同位体混合ガス(トリチウム量1g)にメタン等不純物を添加してループに供給し、実証試験を行った。その結果、燃料精製システムから純粋な水素同位体のみを同位体分離システムに送ること,同位体分離システムからトリチウムを含まないHを抜き出すことを実証した。今回新たに得られた実証試験結果としては、電解反応器によりメタンを分解して水素として回収すること,同位体分離システムに設置したレーザーラマンにより、遠隔実時間分析が可能であることを示したことが挙げられる。
宮 直之; 林 巧; 鈴木 優*; 永島 圭介; 閨谷 譲; 豊島 昇; 鈴木 達志*; 菊池 満; 内藤 大靖*; 永見 正幸
Fusion Engineering and Design, 36(2-3), p.309 - 324, 1997/00
被引用回数:1 パーセンタイル:14.48(Nuclear Science & Technology)JT-60U以降の計画として、評価・検討を進めている定常炉心試験装置の遮蔽・排気処理系についてまとめた。薄板2重壁構造の真空容器の内部に遮蔽材を兼ねたボロン入冷却水を循環する水タンク方式とした。装置全体は40cm厚のコンクリート製クライオスタット内に格納する。低放射化材料としてこれまで評価してきたTi合金に加え、今回新たに代替案として、SUSとタングステンの組合せを提案し、線量当量の設定目標を満たす遮蔽構造を示した。ダイバータポートの実効排気速度20pam/s(30mol/h)を可能とする定常粒子排気系を検討した。プラズマ及びNBIからの排気ガスは燃料精製系で不純物を処理した後、プラズマ燃料として循環再利用する。本装置のDD放電では0.2g/年のトリチウムが発生する。トリチウム循環系は多重格納とし、緊急時の処理が可能なトリチウム安全処理系を検討した。
小西 哲之; 原 正秀*; 奥野 健二
Fusion Technology, 28(3), p.652 - 657, 1995/10
核融合炉においてプラズマ排ガスを処理する燃料精製系(FCU)はその他にベーキング,プロセス真空やサンプリング排ガスなど多様なガスを処理する必要がある。原研製燃料精製システムは構成を組み替えることで広い範囲の流量,組成,処理能力要求に対応することができる。パラジウム透過,白金触媒,水蒸気電解プロセスを使用した閉ループではメタン,水素,水蒸気を含むガスから5回分処理により水素を高率で回収できる。メタンの処理は、触媒により酸化,分解の両法が可能である。さらに固体電解質電解セルは陽極側にメタン,陰極側に水蒸気を通じることによりメタンと水蒸気を同時に分解し、水素を遊離することが確認された。この方法によれば、触媒や酸素ガスを用いず、単純で安全なシステムが構成できる。定常、大量の処理が必要な場合にはトラップ,吸着塔などを加えて対応する。
成瀬 雄二; 吉田 浩
JAERI-M 86-189, 295 Pages, 1987/01
本報告書は、昭和61年10月22,23日化学技術庁の主催により開催された「トリチウム技術に関する日米ワ-クショップ」における発表論文25件を収録したものである。本ワ-クショップは、昭和61年度核融合研究交流計画の一環として実施されたものである。
吉田 浩; 柏井 俊彦*; 成瀬 雄二
JAERI-M 85-113, 53 Pages, 1985/08
核融合炉燃料ガス精製工程にパラジウム合金膜法を適用する場合、D-Tガス雰囲気下での合金膜の水素脆化やトリチウム壊変生成物Heによる膜の劣化について十分な検証が必要となる。このため、現在米国ロスアラモス国立研究所のTritium Systems Test Assembly施設で、原研が選定した多元系合金膜についてTガスによる長期間耐久試験及び引張強度試験などの材料試験を行っている。本研究は、これらの試験結果との比較・考察を行うために必要なトリチウム代替ガス(H,N)雰囲気下での機械的性質及び金相に関するデータ取得を目的として実施したものである。
吉田 浩; 竹下 英文; 小西 哲之; 大野 英雄; 倉沢 利昌; 渡辺 斉; 成瀬 雄二
Nucl.Technol./Fusion, 5, p.178 - 188, 1984/00
核融合炉の燃料循環系やブランケットにおいて生成するトリチウム水を燃料ガスT,DTとして回収する方法として触媒還元法をとり上げ、トリチウム回収プロセスへの適用可能性を実験及び熱力学的解析とにより検討した。実験は実用条件を考慮して、温度350~650K、HO蒸気濃度10~10ppm、一酸化炭素/水素気モル比1~10、空間速度(Arキャリア)210~210hrの範囲で行った。この研究により、水蒸気転換率と操作温度、ガス流量、ガス組成との相関関係並びに触媒反応の速度式、速度定数が明らかになった。これらの関数式を用いることにより、実機の設計と操作条件の設定が可能である。実験結果に基づいて幾つかのトリチウム回収システムを検討したところ、パラジウム拡散器と組合せたシステムがトリチウム回収効率、操作温度、連続処理等の面で優れていることが判明した。
小西 啓之; 吉田 浩; 成瀬 雄二
J.Less-Common Met., 89, p.457 - 464, 1983/00
被引用回数:10 パーセンタイル:79.2(Chemistry, Physical)核融合炉燃料循環システムでは、プラズマ排ガスから不純物を取り除く燃料精製システムが必要である。パラジウム拡散器は、極めて純度の高い水素が得られるなどの長所を持ち、また最近の研究においてこのシステムへの適用の可能性が確認されている。本研究は、管型パラジウム拡散器の分離特性をモデル計算と実験によって解明したものである。この結果、従来本法の欠点とされていたブリードガス中のトリチウム濃度が低く抑えられ、一基の拡散器で高いトリチウム回収率が達成できることが判明した。数値計算によって水素同位体回収率と処理流量の関係が導かれ、水素-ヘリウム混合ガスを用いた実験との比較が行なわれた。この結果に基き、燃料精製システムの構成を検討し、パラジウム拡散器の諸元を決定した。
吉田 浩; 小西 啓之; 勝田 博司; 成瀬 雄二
J.Less-Common Met., 89, p.429 - 436, 1983/00
被引用回数:58 パーセンタイル:96.39(Chemistry, Physical)パラジウム合金膜法は、核融合炉燃料精製系に適用が検討されているものの一つであり、本研究はその可能性を調査するために膜の透過特性への不純物の影響を測定したものである。実験は実際の運転条件を考慮して、120~1300kPa、313~853Kの範囲で行なった。多元系(Pd-25wt%Ag、Au、Ru)合金について、10~10000ppmの濃度範囲でCH、NH、CO、CO、Nを含む水素は水素透過特性に被毒などの影響を与えないことが確認された。真空ポンプ油によって汚染された膜は透過係数の低下を生じるが、空気中でのベーキングと水素還元処理によって容易に回復される。(活性化処理)パラジウム拡散器内では、パラジウムの触媒作用による化学反応も観測される。
小西 哲之; 吉田 浩; 成瀬 雄二
日本原子力学会誌, 24(12), p.973 - 979, 1983/00
被引用回数:2 パーセンタイル:32.89(Nuclear Science & Technology)核融合炉燃料精製系への適用を目的として、管型パラジウム拡散器の特性をモデル計算により解析した。その結果、一基の拡散によってプラズマ排ガス中の大部分のトリチウムが回収できることが判明した。数値解析により拡散器内の水素濃度分布および流量分布を求めた。水素の回収率は流れ方向の混合拡散係数と供給ガス流量の関数として表わされる。結果に基づき、拡散器の大きさおよび運転条件を決定することが出来る。燃料精製系のための拡散器を、Los Alamos National LaboratoryのTritium Systems Test Assembly(TSTA)の条件のもとに設計した。
小西 啓之; 大野 英雄; 吉田 浩; 成瀬 雄二
JAERI-M 82-186, 22 Pages, 1982/12
核融合炉燃料サイクルにおいて必要なトリチウム水の分解プロセスとして固体電解質電解法をとりあげ、その特性について研究した。電解セルの特性を表わす理論式はネルンストの式から導かれ、水から水素への転換率は、開路電圧によって決定されることが判明した。安定化ジルコニアを用いたの水蒸気の電解実験の結果は理論とよく一致した。電解セルのイオン電導度はアレニウス則に従い、この結果から電解セル単位面積当りの処理量が温度が高い程大きいことが導かれる。本法のトリチウムシステムへの適用例について検討を行なった。核融合炉燃料精製系およびブランケットトリチウム回収系は本法による電解槽を用いることによって単純なシステムに構成することができる。
吉田 浩; 小西 哲之; 勝田 博司; 成瀬 雄二
JAERI-M 82-013, 21 Pages, 1982/03
核融合炉燃料精製法としてパラジウム合金膜法の適用可能性を検討したものである。実験では国産の多元素合金膜Pd-Ag(Au・Ru)を使用し、不純物としてはプラズマ排ガス中に含まれると予想されているNH、CH、CO、CO、O、N等に着目した。操作温度、圧力は実機の設計データを得る目的から、夫々700K及び120~1200kPaを選定した。この実験において、多元系合金膜の被毒現象は全く認められないことから、パラジウム膜法がプラズマ排ガスを対象とした精製プロセスに使用できる見通しを得た。なお、この合金膜が真空ポンプ油蒸気により汚染された場合にも簡単な復活処理(空気ベーキング)により容易に元の透過性能に回復できることを確かめた。パラジウムの触媒作用により種々の化学反応が生ずること、その生成物による被毒作用のないことなども実証された。